いつもは当然コンサートホールで聴いている演奏会。今回のようにお寺にて聴くという機会は初めて。それも「ギターと舞のハーモニー」というように、日本舞踊とのコラボレーションである。初めてみる光景に少し驚いてしまったのは言うまでもない。
会場は四天王寺の本坊「五智光院」。100名ほどの観客だった。お寺の中だったので座布団にでも座ってみるのかと思っていた。残念ながらパイプ椅子であった。ギター演奏は昨年も聴いた、ヤン・デプレーテル。若手の実力派だ。どの曲もテクニックを駆使するだけでなく、消え入りそうな音を入念に奏でるスタイルがとても魅力的だった。
日本舞踊との組み合わせは、ドメニコーニ「砂山変化」と、アルベニス「アストゥリアス」の2曲。日本舞踊はしとやかに踊るものと思い込んでいたが、かなり激しい動きと豊かな表現を駆使するもので、例えて言うなら、しゃべらない演劇という感じか。情景やセリフなどをすべて表情と動き、そして扇子によって表しており、伝統芸能の深さというものを垣間見た。ギター伴奏は意外にはまっており、琴による演奏に近いものがあった。
曲が気に入ったのは、最後のフェアウェル。日本映画「夏の庭」のテーマ曲らしいが、映画の名前は聞いたことがない。フェアウェル(告別)というだけあって、悲壮感に満ちた悲しい曲で、その純粋なまでのメロディは直接心に響いた。かえって安らぎを感じさせるほどで、もっと人気が出てもおかしくないと感じた。アンコールでも「夏の庭」からの曲を演奏してくれ、これも素晴らしいものだった。
今日は、お寺での演奏会というシチュエーションのもと、ギター演奏だけでなく、日本舞踊という普段お目にかかれないものも見えたし、良い曲にも巡り合え、思った以上に楽しい日になった。
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