大人気の佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。今日の講演も超満員である。トータルで7公演もするのにもかかわらずだ。どうやったらここまで集客できるのかいつもながらに不思議でたまらない。
そんなことはさておき、今年もハチャメチャな題目を持ってきた。「こうもり」は過去にも見たことがあるが、今回の演出はすべてにおいてハチャメチャな“お笑い舞台”だった。ちゃんと確認しなかったのもあるが、最初に驚いたのは「日本語上演」であったことだ、原語で聞きたかったのに、と文句をたれていたのだが、これが吉本新喜劇を見ているかのごとくお笑い要素がふんだんに盛り込まれていたのだから面白い。関西人でなければ分からないネタ(♪ピチピチ、ムチムチ、バレリーナ〜 カニ道楽のメロディで)、リアルタイムなネタ(なでしこジャパン)など、原作を無視した外れっ
ぷりが素晴らしい(笑)。挙句の果てには牢獄監視役の桂ざこばが「カール・ザッコーバ」として、佐渡さんやお客さんを巻き添えにして繰り広げる寸劇はもはやオペラの域を大きく逸脱していました。
そんなお笑い盛り盛りの舞台だが、セットは非常に豪華だ。第1幕ではアイゼンシュタインのお屋敷、第2幕では大きなシャンパングラスタワーが印象的な豪華な舞踏会場、第3幕は牢獄を模したオルロフスキー公爵の舞台スタジオという、見た目にも楽しめる手抜きのない立派なものだった。
肝心の歌手陣については、日本語という制約のために声量も上げにくく、非常に歌いにくそうではあったが、アイゼンシュタインとアデーレが目立っていたと思う。今回の公演についてはオケの方にも注目すべき奏者が何人も存在した。何しろ、ウィーン・フィルのメンバーが何人か入っていたからだ。まず、コンマスはヒンク氏、フルートには、ヴォルフガング・シュルツの息子、ヴァイオリンやヴィオラにもいた。話がお笑い過ぎて演奏まで気が回らなかったが、なかなか香り高い演奏だったように思う。オペラでよく感じる、最初は抑え気味だが、最後は元気というものではなく、最初から最後まで元気でした。
オペラでは珍しく、最後にアンコールが4つも盛り込まれた。アンコールとしてというよりは、これも演出の1つとしてという見せ方でしたが。
ジーツィンスキー/ウィーン、わが夢の街
ハイマン/ただひとたび(「会議は踊る」)
J.シュトラウス一世/ラデツキー行進曲
J.シュトラウス二世/喜歌劇「こうもり」第2幕より「我ら手を取り」
最後の最後でアイゼンシュタインとロザリンデが座っていたベンチがワイヤーで宙に引き上げられたり、ETのように自転車に乗った誰?かが空を飛んだりと、相変わらず最後までハチャメチャでしたが、見終わったときの満足感はこの上ないものでした。さすがに佐渡さんはエンターテイナーですねぇ。参りました。
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