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コンサート名・公演名

2004年11月10日 ウィーン・フィル団員によるマスタークラス
講師:ライナー・キュッヒル(サントリーホール)

演奏曲目および評価

ラロ  ヴァイオリン協奏曲第2番「スペイン交響曲」から第1楽章*
モーツァルト  ヴァイオリン協奏曲第3番 K216から第1楽章**

 

演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン:  能澤 麻耶(ピアノ:柳瀬 直子)*
ヴァイオリン:  井上 静香(ピアノ:小森谷 裕子)**
講師:ライナー・キュッヒル(通訳:松田 暁子)

感想・短評

マスタークラスは楽器をやっている人が勉強としていくものだろう。楽器をしない者にとっても、プロがどのような部分に気を使って弾いているのかが分かる貴重なもの。今回は来日中のウィーン・フィルのコンサートマスターであるライナー・キュッヒル氏の公開レッスンを見学に行くことにした。場所はサントリーホールの大ホール。大きすぎるくらいだが、自由席なので好きな場所で見れた。とりあえず前から7列目くらいの真ん中に陣取ることに。

生徒は2名。といっても2人とも実力派の若手奏者だ。1人目のレッスン曲はラロ。決してヘタではないのだが、音程に不安定なところがあった。しかし、キュッヒル先生が真っ先に指摘したのは「なぜ首をそんなに横にしている?」ということだった。これはレッスン終了まで言い続けていた。その他にも細かな指摘が続けざまに浴びせられる。特に楽譜に書いている指示には厳密で、それにプラスして楽譜に書かれていないテクニックなども指摘。時折、ヴァイオリンを奪い取り、模範演奏を披露してくれたが、これがまたウマイ。ホールへの響き方が違う! たったワンフレーズを、それも生徒のヴァイオリンで弾いただけなのに鳥肌が立つくらいレベルの差があった。

これは2人目の生徒の時も同じ。2人目は、今年の小澤征爾音楽塾オーケストラにも入っていた子。モーツァルトの演奏はウマイけれど、大げさな演奏に驚いた。キュッヒル先生からの指摘も同様で「もっとシンプルに!」ということだった。キュッヒル先生も自分が弾いて示したかったようで、2人目の生徒に「さっきの子のヴァイオリンを借りてきて」といってパシらせていた(笑)。その間、2人目の子のヴァイオリンでモーツァルト演奏を披露。さすが手馴れたものである。ホールを美しく響かせていた。キュッヒル先生いわく「いいヴァイオリンだ。しかし、弓がいかん」。その後、1人目の子のヴァイオリンを持ってきてマンツーマンの演奏しながらの指導が始まった。とりわけ二重奏といったところ。キュッヒル先生は1人目の子のヴァイオリンが気に入っていなかったようだが。

キュッヒル先生の演奏を聞かせてくれるコーナーがなかったのは残念だったが、一流の演奏家がどのようなところに気をつけながら弾いているのかとても勉強になった。

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