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2006年1月20日 京都市交響楽団
第484回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

シュニトケ  モーツ=アルト・ア・ラ・ハイドン
プロコフィエフ  ヴァイオリン協奏曲第1番
ショスタコーヴィチ  交響曲第11番「1905年」



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: アナスタシア・チョボタリョーワ
指揮: 井上 道義

感想・短評

平日の京都コンサートホールはいつも閑古鳥が鳴いているが、今年は違うのか? 美人ヴァイオリニストのチョボタリョーワが出るためか結構埋まっていた。こういうときこそ熱い演奏が期待できる。

さて、1曲目は井上さんらしい選曲。「ハイドン風モーツァルト」ということだが、そんな曲よりも演出の方に気をとられた。真っ暗闇の中、低弦の音色が静かに響いていて、ヴァイオリン奏者が演奏しながら入ってきた。そして、突然舞台の照明が点いたと思ったら、井上さんがモーツァルトのようなカツラをかぶって指揮していた。さすがだ。これは井上さんしかできない演出(笑)。弦楽器が13人の編成で、ヴァイオリン10人は左右対称に配置されていた。時折演奏しない奏者がいたり、踊りながら演奏していたり、井上さんがクネクネ踊ってたり(これはいつもか?!)。ヴァイオリン奏者が指揮者を攻めるように中央に集結した後、照明が落ちていくと共に、奏者も退場しておしまい。はっきり言って演出に気をとられすぎて曲は全く覚えてない。。。面白いには面白かったけど。

2曲目はプロコフィエフ。この曲は昨年バイエルン放送交響楽団の演奏で五嶋みどりさんのヴァイオリンで名演を聴いてしまっただけに、どうしても霞んでしまう演奏だった。ヴァイオリンのチョボタリョーワは清楚な演奏でうまいんだが、五嶋さんのような曲にのめり込んだ演奏を聴いてしまっていては、表面的なものにしか感じなくなる。人並みな言い方をすれば、特徴がないのだ。そもそも派手な曲でもなく、楽しい曲でもないのでちょっと退屈気味だった。テクニックは申し分ないのだが、常にオケよりも先に走りすぎる嫌いがあって気になった(オケのほうが遅かったのか?)。

後半は一転して重い曲。前述したように井上さんのショスタコーヴィチはこれまでにも数々の名演を聴かせてくれている。おまけに金管や打楽器が活躍する曲は京響の独壇場ともいえる。そういったことも相まって、期待通りの強烈な演奏になった。第1楽章は夜明け前の緊張感が張り詰め、身じろぐこともはばかってしまうほどで、肩がこってしまいました(笑)。トランペット、ホルンのとても緊張する旋律も上手くて嬉しい限りだった。

第2楽章になると凶暴な様相を濃く呈していく。京響は他の重量級オケとは違い、図太い迫力感ではなく、刺激の強いシャープな音響で迫ってくるため、鬼気迫る雰囲気を強烈に感じてしまう。これも金管と打楽器のうまさによるのだろう。もちろん弦楽器だって負けてはいないくて、今回特に思ったのはコントラバスの活躍が凄まじかったこと。ハープやチェレスタがオケの右側を陣取っていたので、コントラバスの位置は打楽器と対象をなしてオケ後方に配置されていた。この効果もあったのだろうか?(オケ後方のポディウム席で聞いたから単に近かっただけという説も・・・)。

第4楽章まで凶暴なほど荒れ狂う曲だが、さすがの井上さんも全身の力を振り絞って指揮をしていたのだろう。曲が終わったときには息切れをしており、いつものような余裕は感じられなかった。それほど全身全霊で演じきったショスタコーヴィチ。決して心が安らぐ曲ではないのだが、名演奏を聴いた充実感は大きかった。

今年はまだ2回目しかコンサートに行ってないが、すでに名演が続いている。充実した良い年になりそうな予感だ。

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