6月に行われたベルリン・フィルのピクニックコンサートでもタクトを振った巨匠ヤルヴィ。仕事の都合で行く予定にはしていなかったのだが、なんとか都合がついたのでホールに駆け込んだ。さすがヤルヴィ氏の登場と言うだけあって、平日の定演にしては客席は埋まった方かな?
ヤルヴィ氏は巨匠といえども、練習嫌いという噂を良く耳にする。そんな指揮者から京響はどんな曲を奏でるのか楽しみに聴いてみた(演奏会後に団員からも聞いたけど、本当に練習をしてくれない指揮者だったらしい・・・)。最初はグリーグ。中途半端というわけではないが、曲を通して控えめな演奏。京響の繊細な性格と相まって、地味ながらも牧歌的な雰囲気で心地よかった。木管が活躍するので嬉しい曲だが、第2曲での金管はもっと柔らかな音が欲しかった。
「4つのノルウェー舞曲」も同じように控えめな演奏で、決してデフォルメしない地味な曲作り。その中でオーボエのシャレールがキラリと光る働きをしていたのが印象的。派手さやロマンティックさはなくとも、こういう丁寧な演奏は実に心地よい。ヤルヴィ氏もシャレールのオーボエが気に入ったのか、アンコールとして第1曲を再演してくれた。ヤルヴィ氏はあまり動かず、目立つこともしないので、お堅い人なのかと思っていたが、小躍りするような仕草でアンコールを楽しませてくれた。1回目の演奏よりも起伏が激しく、とてもお茶目で粋な演奏だった。
さて、後半は聞き飽きた感のあるチャイコフスキー4番。今年の初めに岩城さんの指揮でエキサイティングな名演を聴いているので、ヤルヴィ氏はどんな演奏を聴かせてくれるのか。冒頭から「これが京響?」と思うほど荒々しく野蛮な感じさえするほどの演奏。金管の咆えっぷりがいつもと違う。おまけにティンパニもいつもよりも攻撃的な音で迫ってきた。イメージしている京響との違いにとまどいながらも「なんか面白い演奏」と思って聴いていた。変なところにアクセントがあったり。。。第2楽章、第3楽章は比較的オーソドックスだったけれど、京響の演奏も乗ってきた感じ。そして終楽章。速かったです。非常にスピード感があって、たたみ掛けるように進んでいった。フィナーレはシンバルもスピードに追いついていなかったくらい。そのうえ、最後はテンポをグッと落とすなど、やり放題なヤルヴィ氏。演奏者は大変だったろうけど、聴いている方は面白い演奏でした。
サービス精神旺盛なヤルヴィ氏。ベルリン・フィルでも演奏したモーツァルトをアンコールで披露してくれた。京響にはモーツァルトがよく似合ってます。繊細で良い演奏でした。
モーツァルト 歌劇「後宮からの誘拐」序曲
他にもヤルヴィ氏の指揮を聴いてみたくなった演奏会でした。練習してくれないからオケはたまったモンじゃないのだろうけど。。。
2006年コンサートカレンダーにもどる
|