どちらかというと地味め(曲は華やかだけど)のプログラムなのに、日曜日だからか、中村紘子の登場だからか、珍しく客席は満席状態だった。これくらい入ると気合が入るよね。
始めは景気良く「海賊」序曲。思わずしみじみと聴いてしまうほど充実していて、やっぱり京響は関西で一番うまい団体だなぁと確信できる演奏だった。縦の線がきっちり揃っていて美しいだけでなく、速いパッセージでも演奏にゆとりがありスケールが大きかった。ただ、ホールが妙に響くので分かりにくくなってしまいそうになる。そんな中演奏している奏者は大したものだ。
2曲目は中村紘子さんの登場。姿が見えるとひときわ拍手も大きくなった。やはり中村ファンが多かったのか。。。しかし、中村さんを見て「ハウス ザ・カリー」を思い出してしまう人は私だけではないはず(笑)。そんなことは置いといて、以前聴いたときは劣悪なフェスティバルホールだったのでよく分からなかったが、中村さんの演奏はとても若々しく、そして瑞々しく感じた。少し速めのテンポでダレることなく爽快だった。長らく日本ピアノ界の巨匠として君臨しているのがうなずける。第2楽章は特に美しく、そのロマンティシズムはさすが百戦錬磨の技。大友さん&京響はピアノに遠慮して抑えるわけでもなくバランスよく対峙していたのが良かった。しかし、フランス音楽特集なのに、なぜにショパンなんだろうか???
さて、後半は華やかな曲が並ぶ。ルーセルの曲は聴いたことなかったけど、変幻自在なテンポ設定がとても面白く、見て楽し、聴いて楽しい曲だった。ただ、終始騒々しく鳴り続ける曲なので疲れた。その中で時折入るクラリネットの柔らかなソロが疲れを和らげてくれた。演奏している方も大変だそうで、やはり難曲の部類に入るから演奏機会も少ないのだろうか。
※初めて聴いた曲と思っていたが、2000年に大フィルで聴いていたことが発覚! う〜ん、全く覚えてないぞ。
最後は圧巻のラ・ヴァルス。1998年のベルリン・フィル来日公演で強烈な名演を耳にして以来、CDを含め、どんな演奏を聴いても納得することがなかったクセモノ。今日はついにベルリン・フィルの名演に並ぶほどの大満足な演奏が展開された。もちろん各楽器の音色や艶めかしい表情などベルリン・フィルに及ばないところは多くあるが、テンポといい、バランスといい、クライマックスに向けての熱狂度合いなんかは理想的とも思えるほど満足なものだった。思わず、真っ先に拍手をしてしまった(フライングはしてません!)。
あまり企画が多くない「フランス音楽」プログラム。ラヴェルやドビュッシー、ルーセルやプーランク。ぜひぜひ京響でどんどん特集して欲しいものだ。
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