私にとっては今年一番ともいえる注目の演奏会。その期待にきちんと応えてくれるというか、それ以上の演奏をしてくれるのが今の京響だ。私の期待に応えてくれないのは観客かな?満員かと思いきや、8割強くらいだろうか?滅多に聴けないプログラムだからもっと入ると思ってもいいもんだが。
最初は演奏機会の少ないウェーベルン。編成が全く異なる2曲なのだが、これが驚くほど完璧な演奏だった。京響ならではの非常に純度の高い響きに本当にうっとりしました。特にどちらの曲も第2曲の色彩感が素晴らしく、ウェーベルンの意図した世界を描ききっていたのではないだろうか? 「6つの小品」では第4曲の強烈な迫力もスケールがデカかった。現代曲(近代?)にもかかわらず拍手が多かったからみんな満足したんでしょう。
後半はメインディッシュのマーラー。7番は最もマイナーな曲だと思うが、私が学生の頃に最も愛聴していた曲の1つだ。演奏機会が少ないため、生で聴くのは12年前に聴いたラトル&バーミンガム市交響楽団以来の2回目となる。ウェーベルンに引き続き、対向配置のオケ。マーラーではたまに見られる光景だが、京響ではあまりないので何だか新鮮。高関さんの丁寧で明確なドライブもあって非常に安定感のある演奏だった。予習のためCDで聴いたスヴェトラーノフ&ロシア国立交響楽団とは大違いだ(予習に向いてない演奏ですが・・・)。第1楽章はテンポを細かく変化させていて、複雑な曲相を細かく分析しているようでもあり、興味深く聴くことができた。唯一最後にテンポを落として終わるのが好きではなかったかな?
第2楽章は夜の世界が色濃く広がる。こういう楽章を単調にならずに演奏できる京響は素晴らしいと思う。「夜の歌」ということもあり、第3・4楽章は聴き手の問題で眠さ爆発でしたけど(笑)。第5楽章はもはや京響の独壇場。かなりの快速スピードで駆け抜けた。それでも誤魔化しはなく、精緻な演奏であることには変わりがなかった。ティンパニをはじめとしたパーカッション陣の活躍は特に見逃せない。フィナーレでのカウベルの鳴らし方はアイデアというか、何というか(笑)。パイプハンガーにいくつも吊したカウベルを豪快に揺らしまくってました。いつも冷静な高関さんもさすがにエキサイティングした熱い指揮振りでした。いやいや立派な演奏でした。
拍手喝采の中、各パートを立たせて労っていたが、最後の最後になってコンマスの泉原さんが高関さんに耳打ちしていた。なんと、ある意味客演のメインともいえる目の前にいたマンドリン奏者とギター奏者を忘れていたのである。これには高関さんも大慌てで何度も頭を下げていた。灯台下暗しですね(笑)。
ホールの中央付近では広上さんがスコアにずっと目を落としながら聴いていた。指揮者にとっても貴重な演奏機会だったのだろう。この調子であればマーラー全曲演奏会でも企画すれば大盛況になると思うのだが。もちろん収録も企画して欲しい。来年も続くマーラー・イヤーにぜひ期待したい。
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