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2010年7月17日 京都市交響楽団
第537回定期演奏会(京都コンサートホール 大ホール)

演奏曲目および評価

シベリウス:交響詩「フィンランディア」 op.26
グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調op.16
バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:アリス=紗良・オット
メゾ・ソプラノ:富岡明子
管弦楽:京都市交響楽団
指揮:広上淳一

感想・短評

今日は祇園祭のクライマックス、山鉾巡行だ。午前中は予定があったので見に行かなかったが、梅雨明けの天気で絶好の観覧日和だったことだろう。京響も祇園祭に負けてはおらず、今日の定期は全席完売の盛況ぶりだ。京響の快進撃もあるが、ソリストのアリスさん目当てが多いのだろう。

さて、フィンランディアはさすが京響という手慣れた演奏だった。比較的オーソドックスなものだったが、過去の演奏よりもより深みのある力強い演奏になっていたと思う。ヴァイオリンがフライングした以外は文句のない出来でした。

グリーグでは注目のアリスさんの登場。大フィルで1度聴いているが、今日のパフォーマンスはまた違う印象でした。もぎたてのフルーツのように実に瑞々しい音色。ちょっと硬いかな?と思うが、音の粒が立っていて気持ちが良い。第1楽章は何かの高周波音のため、ちょっと集中できなかった。広上さんも気になっていたようです。第2楽章は素晴らしい美しさでピアニストの実力を知るには絶好でした。

しかし、もっと素晴らしかったのはアンコールでした。

 リスト/ラ・カンパネラ
 ショパン/ワルツから

超絶技巧のリストは圧巻でした。優しい音色なのに一音一音がくっきりと浮き上がって弾け回っていた。ショパンは対照的に極限の美しさで、ショパンは好きでないし、聴いたこともない曲だったのだが、評判になっているCDを買いたくなった。あと余談だが、アリスさんは舞台上では裸足で演奏していた。さぞ、足の感覚を研ぎ澄ますためだろうかと思って聞いてみたら、本人曰く、気持ちいいから・・・ということでした。なるほど。。。

いい気分で後半に突入。バーンスタインに相性の良い京響だけに、痛快な演奏でした。ほとんど完璧といっても良いと思う。特に第2楽章のスケルツォはスピード感、精度ともに驚きの連続だった。第3楽章はメゾソプラノが印象に残っている。かなり太い声質で声量的に十分。マーラーでも次は歌ってもらいたいところだ。エレミアについては初めて聴いたという話を終演後のレセプションで多く聞かれた。大方好意的だったのが今日の演奏をよく物語っているのではないだろうか?

演奏の最後に首席トランペット奏者の宮村さんの退団挨拶が行われた。宮村さんは数年前から健康上の理由で休団状態になっていただけに残念でならない。送る曲としてグリーグ「ホルベルグ組曲」からの曲が演奏されたが、ちょっと暗い曲だったなぁ・・・。本人だけでなく会場の至るところからすすり泣く声が聞こえた。京響が多くの人に愛されていることを再確認でした。

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