昼のクラリネット・リサイタルに続いてのダブルヘッダー。今シーズン京響で一番期待の演奏会がやって来た。滅多に演奏されない「ファウスト交響曲」が取り上げられるとなれば期待せずにはおれないだろう。しかし、会場の客の入りはあまり良くなく、2階と3階は空席が目立った。うーん、メジャーな曲ではないが、沼尻さんの指揮だしもっと入るはずなんだけどなぁ。
プログラムはリストイヤーということでオールリストです。前半はピアノ協奏曲。児玉さんのピアノはミスタッチが多くてちょっとハラハラでした。全体的にスローなテンポで重厚感のあるドイツ的なリスト。いつもデュトワのフランス的な演奏のCDを聴いていたので、違いが多くて興味深く聴けた。
後半は楽しみにしていた「ファウスト交響曲」。期待を裏切らない素晴らしい快演でした。この曲も最初はヘンテコな曲だと思っていたが、楽章ごとにテーマアップされている登場人物が、沼尻さんの明快な解釈のために非常に分かりやすく聴くことができた。特に圧巻は第3楽章のメフィストフェレスだ。全ての登場人物の入り混じりがオペラを観ているかの如くリアルに感じ取ることができた。第4楽章では二塚さんとびわ湖ホール声楽アンサンブルが堂々たる活躍をやってくれた。マイクを使っていた?のもあろうが、たった13名とは思えない声量でこの超大作を勇壮に締めくくってくれた。
いやいやブラボー。京響にとっては初めての演奏らしいが、すでにレパートリーに入ったと言っても過言ではない。そして最後に、重要なお知らせがあった。トランペットの菊本さんがN響に移籍するため、最後の定期になるとのこと。非常に残念だが、京響のレベルがそれだけ高いということを物語っているとも言える。新天地での活躍を期待したい。京響東京支部としてね(笑)。
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