おぅっ!平日の京響なのになかなかの人の入りだぞ。感心感心。今日の指揮者は元々、アレクサンドル・ラザレフ氏だったのだが、病気のため指揮者変更になっていた。変更は良くない方向に行くのが大概だが、今回は個人的には「当たり」だった。一度聴いてみたいと思っていた指揮者だったからだ。こんなこともあるんですねぇ。コーガン氏は、先週大フィルで聴いた諏訪内晶子さんがチャイコフスキーコンクールで優勝した際の本選の指揮者だったと記憶している(たぶん)。何とも不思議な巡り会わせだ。
その期待のコーガン氏ですが、ソビエト時代を彷彿とさせる躍動感あふれる指揮振りを発揮してくれた。「プロメテウス」は実に多彩な表情の数々。最初のイヤラシイ弦楽器なんかは京響らしからぬ様相に思わずニヤついてしまったほどだ。輝かしい金管とともに、充実した音の洪水に飲み込まれました。いい曲じゃないですか。
ただ、ピアノ協奏曲は意識が飛びました(汗)。今週は仕事のせいか、あまりにも眠い日が多く、週末となるとそれがピークに達していたからだ。ほとんど覚えてないですねぇ。しっかりとしたタッチで安心感のある演奏だったということしか覚えてないです。ただ、アンコールは目を剥いて聴きましたよ。
シューベルト/リスト編曲による「ます」
ハイドン/ソナタ 編イ長調から「メヌエット第1番、第2番」
さて、後半はチャイコフスキーだ。聴き飽きた感のある曲だが、指揮者次第でどうにでもなる曲ともいえる。そしてコーガン氏はやってくれました。ソヴィエト時代の演奏をそのまま再現するかのような猛烈なスピードで突っ走る!随所の感想などは吹き飛ぶ痛快な演奏は、本能の赴くままに聴くに限る。第4楽章はもう限界に近い速度で、手を緩めることを知らないスパルタ振りだった。それでも大崩壊をしないところが京響のスゴイところだ。弦楽器は本気で弓を高速運動させ、木管は目にも止まらぬ指使いを駆使させ、シンバルを始めとした打楽器は必死のパッチで叩きまくる。もう会場はブラボーですわ。終わった直後、いつもクールなコンマスの泉原さんが「ふーっ」と大きな息をつき、汗をぬぐっていたのが全てを物語っていた。
チャイコフスキーの4番といえば、かつてヤルヴィ氏との爆演を必ず思い出す。内容的にはそこまで濃密ではなかったが、今回の演奏も奇演として京響の歴史に残ることだろう。たまにはこういう演奏も気持ちがいい。
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