熱演・力演・快演・と言ったところでしょうか。今日の京響。大編成のオケを明確に裁き、ロシア(旧ソ連)の緊迫した情勢を彷彿とさせたバルシャイの指揮もなかなかのもの。
ムソルグスキーは楽器が突出するのを抑えたバランスの良い演奏。まだ薄暗い朝を表現していた。
レニングラードは初めから非常に速い演奏(バーンスタインに慣れているため?)。第1楽章のヒーローはスネア。ボレロ風の行進曲の箇所で緊張感あふれる役割を見事に演じた(1カ所ミスったが)。トゥッティではスネアが2人、そして3人に増えていき、軍隊の勢いを強めて管楽器による大爆発! これだけ鳴らしても管の伸びやかで明るい響きが保てた京響の演奏はすごい。今年の関西のオケでは上位の名演奏になるのでは? 第2楽章では、特にバスクラが美しいソロを聴かせてくれた。第3楽章はもっとためて演奏して欲しかったのだが、のっけからハイスピード。冒頭のSクラは第2楽章の時とは違い、アタックの良い音を出していた。ヴァイオリンによる美しい合奏も澄みきった冷たい音色で我々を魅了した。コントラファゴットが良く聴こえたのも収穫だ。終楽章に入ってもスピード溢れる演奏で、最後の巨大な勝利に向かって突き進んでいった。最後の銅鑼の残響が効果的で良かった。一つ注文を付けるとしたらティンパニだろうか。あの音は好きではない。もっと響いて欲しかった。強打では音が歪んでいたし、バチの色は緑だったし(これは関係ないか・・・)。
とにかく久しぶりに日本のオケの演奏で体が震えた。
ルドルフ・バルシャイ
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