プログラム的には今年の最大のイベントではないだろうか。ローマ3部作が聴けるとあっていやが上にも期待が大きくなる。
最初は「ボッティチェルリの3枚の絵」。この曲は私が高校時代によく聴いていた曲。本当に久しぶりに聴いた。演奏の方はというと、3部作に気合いを入れているためなのか、旋律が不明確で、どうしても弦楽器の薄さが曲相を乏しくしていた。レスピーギ特有の古典的、懐古的な表情には遠かった。ファゴットは比較的いい仕事をしていたが。
2曲目からメインとなるのか? 舞台に所狭しと並ぶ演奏者。これほどの大編成の曲を聴くのも久しぶり。滅多に演奏されない理由も分かる。秋山氏は非常に起伏の大きな演奏を聴かせてくれた。ただ、弦が物足りないためか旋律がうまく形にならない。ホールのせい(座席の位置)もあったのか? 祭らしい華やかさというよりは重々しく力強い演奏。見ものは11人の打楽器陣! ティンパニの音はもう少し張りのあるシャープさが欲しいところだった。金管は大いに外したが、あの難曲を考えればとても頑張ったと思う。もう少し指揮者の意志が伝われば良かったことだろう。フィナーレの激しい起伏を持った畳み込みにはただただ感心した。聴き慣れた人には面白い演奏だったと思う。3階席も使った立体的な音響効果はよかった。しかし、マンドリンが使われているとは知らなかった。
祭りの後だけにちょっと印象が薄くなってしまったが、噴水もオーソドックスにとても綺麗にまとめあげていた。この曲から場所を移動して聴いたので、音響的には良かった(最初に居た場所と比べると音量は倍ほど違った・・・)。弦の冷たさは相変わらずだが、最後の夕闇に消えゆく所などは非常に美しかった。
今日はなぜ松を最後に持ってきたのかが良く分かった。非常に完成度が高い! 最初の1音からして何という輝かしく、きらきらした音!! 今まで聴いたCDでもこんなきらめきは聴いたことがなかった。弦楽器の冷え切った音もこの曲には鮮やかな色合いを添えていた。第3曲「ジャニコロの松」でのクラリネットのソロはなんと落ちつくことか。首席のレーニが今回は出ていなくても素晴らしかった。鳥の鳴き声はどうするのか期待していたが、結局別取りしていたものをホール上部のスピーカーから流していた。最後の「アッピア街道の松」はもう押し流されるがまま。「松」という雰囲気は微塵もなく、堂々とした大行進。アッピア街道は古代の軍事道路だったらしいが、それをさらに越えたような、超巨大な軍艦が爆進するようなフィナーレ。オルガンも加わり、全楽器がストレスなく見事に鳴りきっていたのが成功の証。
秋山氏はもっとオーソドックスな指揮者かと思ったが、なになに、とてつもなくスケールの大きな演奏をするすごい指揮者だった。
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