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1999年7月9日 京都市交響楽団
第416回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

レスピーギ
  ボッティチェルリの3枚の絵
  交響詩「ローマの祭」
  交響詩「ローマの噴水」
  交響詩「ローマの松」

 



演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮: 秋山 和慶

感想・短評

オーケストラ画像プログラム的には今年の最大のイベントではないだろうか。ローマ3部作が聴けるとあっていやが上にも期待が大きくなる。

最初は「ボッティチェルリの3枚の絵」。この曲は私が高校時代によく聴いていた曲。本当に久しぶりに聴いた。演奏の方はというと、3部作に気合いを入れているためなのか、旋律が不明確で、どうしても弦楽器の薄さが曲相を乏しくしていた。レスピーギ特有の古典的、懐古的な表情には遠かった。ファゴットは比較的いい仕事をしていたが。

2曲目からメインとなるのか? 舞台に所狭しと並ぶ演奏者。これほどの大編成の曲を聴くのも久しぶり。滅多に演奏されない理由も分かる。秋山氏は非常に起伏の大きな演奏を聴かせてくれた。ただ、弦が物足りないためか旋律がうまく形にならない。ホールのせい(座席の位置)もあったのか? 祭らしい華やかさというよりは重々しく力強い演奏。見ものは11人の打楽器陣! ティンパニの音はもう少し張りのあるシャープさが欲しいところだった。金管は大いに外したが、あの難曲を考えればとても頑張ったと思う。もう少し指揮者の意志が伝われば良かったことだろう。フィナーレの激しい起伏を持った畳み込みにはただただ感心した。聴き慣れた人には面白い演奏だったと思う。3階席も使った立体的な音響効果はよかった。しかし、マンドリンが使われているとは知らなかった。

祭りの後だけにちょっと印象が薄くなってしまったが、噴水もオーソドックスにとても綺麗にまとめあげていた。この曲から場所を移動して聴いたので、音響的には良かった(最初に居た場所と比べると音量は倍ほど違った・・・)。弦の冷たさは相変わらずだが、最後の夕闇に消えゆく所などは非常に美しかった。

今日はなぜ松を最後に持ってきたのかが良く分かった。非常に完成度が高い! 最初の1音からして何という輝かしく、きらきらした音!! 今まで聴いたCDでもこんなきらめきは聴いたことがなかった。弦楽器の冷え切った音もこの曲には鮮やかな色合いを添えていた。第3曲「ジャニコロの松」でのクラリネットのソロはなんと落ちつくことか。首席のレーニが今回は出ていなくても素晴らしかった。鳥の鳴き声はどうするのか期待していたが、結局別取りしていたものをホール上部のスピーカーから流していた。最後の「アッピア街道の松」はもう押し流されるがまま。「松」という雰囲気は微塵もなく、堂々とした大行進。アッピア街道は古代の軍事道路だったらしいが、それをさらに越えたような、超巨大な軍艦が爆進するようなフィナーレ。オルガンも加わり、全楽器がストレスなく見事に鳴りきっていたのが成功の証。

秋山氏はもっとオーソドックスな指揮者かと思ったが、なになに、とてつもなくスケールの大きな演奏をするすごい指揮者だった。

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