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2001年10月20日 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

ブリテン  シンプル・シンフォニー
チャイコフスキー  ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク  交響曲第8番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: サラ・チャン
指揮: クルト・マズア

感想・短評

非常に興味深い組み合わせによる演奏会。今年で行く中では一番ビッグネームの演奏会か。マズアといえば誰もがライプツィッヒ・ゲヴァントハウスを思い出すと思うが、今回は似ても似つかないLPOだから面白そうである。さらに若手ヴァイオリニストのサラ・チャンがソリストで参加するのも楽しみの一つ。

さて、初めはLPOのお国もののブリテン。弦楽器のみの曲のため、少しばかり小編成にもかかわらず、冒頭からのけぞるような厚い響きがホールを包んだ。昨日、京響の名演奏会を聴いたばかりだが、やはり一流オケとなると弦の響きが全く違う。しかしここまでレベルの差があったものか・・・ あまりのうまさにLPOに対する評価が一変した。LPOといえば、もちろんテンシュテットなどとの名演も数多いが、私の中では「ドラクエのオーケストラ」というイメージが払拭できないでいた。しかし、このブリテンの冒頭を聴くだけで、今までのイメージが忘却の彼方へと飛び去ってしまった。特に素晴らしかったのは第3楽章。恐ろしいまでのピアニッシモの美しさ。全くの隙も見せない演奏に舌を巻いた。

そんな驚きの中、次に用意されていたのは超絶技巧を要するチャイコフスキー。チャンはどのような演奏を聴かせるのか。オケは冒頭から艶やかな音で始まり、ソリストがいることを感じさせない圧倒的なボリュームでヴァイオリンに引き継いだ。残念ながら私が座っていた席はオーケストラ後方の席だったので、ヴァイオリンの音を直接聞くことは出来なかったものの、チャンのヴァイオリンはオケに負けることなくホール全体に響き渡った。意外とオーソドックスな解釈だったが、チャンの演奏スタイルはかなりパワフル。演奏中歩き回るわ、足踏みはするわ、弾き終わったあとなどは弓を「円月殺法」のように振り回すわ・・・非常に個性的なものだった。しかし、テクニックは超一流で超絶技巧を極めていた。かなりテンポの速いマズアの指揮も決してソリストに気を使うことなくフォルテッシモでグイグイ押し進めた。それでもチャンは少しのミスもなく(くだらないミスはあったが)弾ききった。第1楽章が終わったときには割れんばかりの大歓声で、早くも場内は興奮のるつぼとなった。これほどまでにテクニックを堪能できたのはヴェンゲーロフ以来のことだった。

もう一つのメイン曲はドヴォルザーク。もういうまでもなく完璧な出来。オケの機能性もさることながら、マズアの巨匠らしさが前面に押し出された充実した演奏。決して急がず、堂々たるテンポで進めるあたりは、この曲の評価をさらに引き上げるものとなった。わたし的には第2楽章の美しさに聞き惚れてしまった。一流オケというものはピアニッシモが完璧に演奏できるものなんだなぁ・・・

演奏終了後、いつものようにサインをもらいにいったのだが、もらえたのはチャンのみ。マズアは「sorry,sorry」といいながらタクシーに急いでいた。来年はニューヨーク・フィルを引き連れて来るマズア。次回はサインをもらいたい。

サラ・チャンとマズア
サラ・チャンとマズア
クルト・マズア
クルト・マズア

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