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コンサート名・公演名

2007年11月16日 マリインスキー歌劇場管弦楽団
(フェスティバルホール)

演奏曲目および評価

チャイコフスキー/交響曲第2番「小ロシア」
プロコフィエフ/ピアノ協奏曲第3番
ショスタコーヴィチ/交響曲第15番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:イェフィム・ブロンフマン
指揮:ワレリー・ゲルギエフ

感想・短評

久しぶりのフェスティバルホール。このホールは大きすぎる上に音響が好みではないので、好きなオケが来日してもこのホールだったら来ないことにしている。しかし、今回のマリインスキー歌劇場管弦楽団は、昨年の兵庫公演で素晴らしい演奏を耳にしているので、ちょっと外せなかった。。。しかし、フェスティバルホールはなんと閑散としていたことか!1階席は5割くらいしか入っていないほどのガラガラ状態(2階席は見えなかったので状況把握できず)。今回のツアーは全国的にあまり人が入ってないらしい(他の報告サイトより)。フェスティバルホールなんかでするから・・・と思いながら、ゲルギエフや団員の士気に影響しないか心配だった。

そして最初のチャイコフスキー。ゲルギエフらしくない覇気のない表情。ツアーの疲れも溜まっているのか?チャイコフスキーの若いころの作品なので軽快で明るい演奏を期待していたのだが、テンポは遅めな上に重く暗い。。。そもそもホールの音響が悪すぎで、楽器の種類や音程の違いで響がバラバラになっていた。冒頭のホルンは辛かったと思う。全く響かないんだから・・・曲が進むにつれて流れもよくなってきたが、曲自体が未熟なために、空騒ぎとしか聞こえて来なかった。特に最後のあたりのドラは不要だろーーーと思います。

そんなモヤモヤしたものを吹っ飛ばしたのが、次のブロンフマンの爆裂的なピアノでした。クラリネット・デュオで美しく始まり(ロシア的な吹き方だけど)、プロコフィエフらしい清々しいヴァイオリンの旋律が美しく続く。ピアノの響自体はこのホールには不向きに思えたが、ブロンフマンの外見通りの力強いタッチと、非常に繊細な音色が実に魅力的だった。まるでピアノの上で水しぶきを上げているかのような感覚を覚えました。オケはピアノにお構いなく鳴らすが、ブロンフマンはそれに勝るほどのパフォーマンス。スゴイの一言。。。恐ろしいほどの強烈なパワーみなぎるブロンフマンには心底参りました。熱狂的な歓声に応じてアンコールを1曲披露してくれた。凄まじいほどのスピードと正確なタッチには驚きました。(ショパン/12の練習曲より「革命」Op.10-12

後半のメインはショスタコーヴィチ。ただでさえあまり演奏されない曲なのに、ゲルギエフは完璧な演奏を繰り広げたのだから何もいうことがないです。。。スゴイ!これしか感想は書けません。小鳥のさえずりのような小さな音から、重戦車の行進のような大音量まで登場するバランスの悪い?この曲に見事なまでに表情が感じ取ることができました。CDを聴いているだけでは分からない曲の1つだろうと思います。ゲルギエフのこの曲にかける意気込みを感じた演奏でした。最後は静かに消え終えるが、大阪にしては珍しく10秒近く静寂がホールを包みました(←このことにもブラボー)。いうまでもなく、その後は大歓声がホールを包む。ゲルギエフも納得のいく演奏ができたのでしょう。晴れやかな表情でしきりに歓声に頷いていました。ご機嫌ぶりはアンコール2曲を演奏してくれたことからでもよく分かります。

  チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」よりアダージョ
  プロコフィエフ/歌劇「3つのオレンジへの恋」より行進曲

いやいや、これも爆裂的な名演でした。特に「くるみ割り人形」は全編聴いたかのような壮大な演奏で大満足でした。時計の針はすでに21時50分。こんなに充実した演奏会を聴けなかった人は残念でしたね〜。

メジャー作曲家のマイナー曲を並べた、この見事なプログラム! こういうプログラムを日本のオケもやって欲しいところだ。しかし、ゲルギエフはやっぱりスゴイ。

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