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2013年5月13日 東京都交響楽団
大阪特別公演(フェスティバルホール)

演奏曲目および評価

ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲
チャイコフスキー/交響曲第5番

演奏者(指揮者・ソリスト)

チェロ:宮田大
管弦楽:東京都交響楽団
指揮:エリアフ・インバル

感想・短評

ついにフェスティバルホールが新規オープンした。最後に聴いたモントリオール交響楽団の演奏会から5年ぶりなのだが随分と昔のように思われる。ビルは完全に新築で高層化しているので、ホールも全く新しく作られたものだが、昔の雰囲気はそのまま残されていた。導入部の階段もそうだが、ホール内部も「懐かしい」というに相応しい感想を持った。しかし、客席は3階構造になり、昔のような急傾斜も少し和らぎ、座席の前後間にもゆとりができていた。まぁ、最大の驚きはその音響の大幅な向上なのだが。

そんなフェスティバルホールの変貌ぶりを実感するにはインバル=都響というのは十分すぎるスペックである。いま日本で最も話題となっているコンビなので、曲目はあまり気に入らなかったがいろいろと楽しみにすることが多い演奏会となった。最初の「オベロン」からホールの威力を強烈に思い知らされた。なんと「聴こえる」のである(笑)。昔のフェスティバルホールと言えば、2階席の後方と言えば、NHKホールと同じくらい「聴こえない」ものだった。舞台が遠いために音の発信源が「点」になるため音の広がりがなく、常にSPレコードのような不明確でモノラルな音響といつも思っていた(多くのアーティストが言っている「音響の良さ」というのは客席側から言えばあまり感じられなかった)。それが新しいホールではホルンの静かなソロがしっかり聞こえてきたのである。それもホール内に響いて。

肝心の演奏の内容の方は、さすが都響といわしめる充実した演奏だったと思います。弦楽器の響きが豊かですね。木管も良く働いてました。ただ、金管についてはあまり好きではなかった。ホルンやトランペットは不安要素があり、強奏時にはやや耳に突く音色でもあった。前回サントリーホールで聴いたブルックナーがあまり気に入らなかったのも、金管によるものなのかもしれない。とはいえ、演奏そのものは立派でした。

2曲目はチェロの宮田さんをソロに迎えてのチャイコフスキー。弦楽器の芳醇な響きが心地よい上に、宮田さんのしっかりとしたチェロが曲を完全に支配していました。チェロ1本でフェスティバルホールを響かせられるなんて、宮田さんもすごいのだろうが、ホールも随分と響くようになったもんだ。宮田さんのチェロは音程も正確なので何の心配もなく安心して聴けました。特にソロ部分が良かったですね。

アンコールは「サン=サーンス/白鳥」を完全ソロで。2700人の大聴衆の前で実に繊細な白鳥が泳いでました。

メインもチャイコフスキー。こちらについては最近のインバル人気を証明するような痛快な演奏となった。何しろ起伏が激しい!全体的には非常に遅いテンポで巨匠の風格抜群。突然テンポを動かすことが特に後半になるにつれ多かった。最終楽章はもうジェットコースターですね。実に面白い演奏でした。オケもフルに鳴らすのでホールも良く響いてました。気持ちいい演奏でした。他の特徴としては、楽章間の休みはなく、ほとんど続けて全曲を通す演奏だったことか。そのためか第1楽章の終わりはちょっと荒削りだったようなのが残念でしたが。インバルなりの狙いもあったのでしょう。

熱狂的な拍手に応えてアンコールが1曲。なぜか「ブラームス/ハンガリー舞曲第1番」。こちらも激しい緩急自在な演奏で面白かったです。盛り上がるねこういう演奏。オケも破綻なく上手かったです。

今回はホールの感想に終始してしまった気はするが、都響はやはり人気なだけに上手いオケでした。ただ、関西にはそれに匹敵するか、凌駕するような京響という存在がある。今度はフェスティバルホールで京響を聴いて比べてみたいものだ。

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