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2008年4月11日 モントリオール交響楽団
第50回記念大阪国際フェスティバル(フェスティバルホール)

演奏曲目および評価

ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー/交響詩「海」
R.シュトラウス/アルプス交響曲 op.64



演奏者(指揮者・ソリスト)

管弦楽:モントリオール交響楽団
指揮:ケント・ナガノ

感想・短評

モントリオール交響楽団を生で聴いたのは、実に13年も前の1995年のことになる。デュトワの華麗なる棒裁きに酔いしれた記憶が新しい。今回のシェフはケント・ナガノ。フランス物には長けている印象が強いので、今日のような色彩感溢れる曲目には大きな期待を寄せていた。問題はホールの音響だけか。。。

フルートの名手ハッチンズは健在だった。前半のプログラムは彼で持っていたと言っても過言ではない。「牧神の午後への前奏曲」は非常に落ち着いた演奏で、心持ち「陰」があるようで暗い。敢えてモントリオール響の色彩を封印しているように色が淡い。これはホールの特性による影響が大きいと思うが、ナガノさんの指揮もとてもテンポが遅く、流れを塞き止めてしまっていたような気がしたのは残念なところ。

「海」もほぼ同じような印象だった。「海」という流動感に乏しく、仕切られた中に海が存在しているよう。名盤の誉れ高いデュトワ盤で見事に表現されていたうねりは感じられなかった。しかし、ここでもハッチンズの独壇場だった。第2曲はモントリオール響らしい聴き慣れた流麗感があり素晴らしかった。第3曲はクライマックスに向けての高揚感が足りなかったので「えっ、終わり?」という感じだった。デュトワ時代の音色は残っているだけに、指揮者によってこうも違うのかと思った。ちょっと欲求不満が募ったかな?

後半は「アルプス交響曲」。実は、初めてフェスティバルホールで聴いた曲がこの曲だった。恐らくフェスティバルホールに来るのは今日が最後だろうから、因縁深い曲と言える。さて、演奏の方は、前半と異なり遅すぎることのないテンポ設定。さすがモントリオール響と思える緻密で美しい演奏だった。ただ、座った席が良くなかったこともあるのだろう。広がりのない響きなので「アルプス」のスケール感はなかった。美しい高原の牧歌的風景は想像できても、壮大な山の姿は見られなかった。しかし、オケはかなり上手い。決して無駄にする音はなく、精密画のようにキメが細かく描かれていく。特に弦楽器の独特の音色が特徴的だったのが強く印象に残った。「アルプス交響曲」は、昨年は京都市交響楽団で快演を聴いているが、どちらも甲乙付けがたい出来だった。双方オケの特徴がよく表れていたからだ。共通しているのは、どちらのオケも女性奏者の比率が高いこと。どおりで美しく優しい雰囲気があるわけです。話を戻すと、美しいがために嵐のシーンは爆発力不足だった。ウインドマシンや鉄板?の効果がほとんどなかったように思う。最後の「日没」が静かに終わったあとも20秒近く拍手が起きなかったのが珍しく収穫だった。ナガノさんは余計な脚色を加えず、音楽そのものを生に表そうとする指揮者なのだろう・・・と思った。

さて、アンコールは2曲で、「さくらさくら」と、ビゼー/アルルの女より「ファランドール」

さくらさくらは透明感のある上品な演奏で好感が持てたが、なんと言ってもファランドールだ。デュトワ&OSMが得意としていただけに、実力全開な演奏だった。最後の最後で真のモントリオール響の姿を見た。アンコールと言えども勢いだけにならない整った演奏にはただただ脱帽でした。

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