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2004年12月10日 新日本フィルハーモニー交響楽団
第379回定期演奏会(すみだトリフォニーホール)

演奏曲目および評価

ハイドン  交響曲第98番
ショスタコーヴィチ  交響曲第10番


演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮: 小澤 征爾

感想・短評

小澤氏の指揮によるオーケストラ・コンサートに行くのはこれが初めて(オペラは2度ある)。チケットは海外オケ並に高かったのは難点だったが、世界のオザワが聴けるとあって会場はほぼ満席。さすがに人気の高さが伺えるとともに、演奏への期待も自ずと高まる。しかし、12月とはいえ暖冬のため暖かかったにもかかわらず、会場内は暑すぎるくらい暖房が効いており、汗だくで聴くハメになった(これは集中できない!)。

最初はハイドン。あまり好きな作曲家ではないので、この曲は初めて聴いた。とてもユニークで聴き応えのある曲で、弦が非常に美しかった。これは小澤氏のなせる技か? とても明確で安定感のあるテンポをもって小気味よく表現していた。第3楽章のコンマスと木管とのかけ合いが最高の聴き所。第4楽章も仕掛けが盛りだくさんで楽しかった。全てにおいてコンマスの実力の高さがものを言った気がする。小澤氏得意の弦表現と、それについていけるだけの実力が備わっていたといえるのではないだろうか。関西ではなかなか聴けないかも・・・

実は一番楽しみにしていたのがショスタコーヴィチ。今年の大フィルでも取り上げられていたので、比べてみるのも面白い。しかし意外なことに、小澤氏の長いキャリアの中でも、ショスタコーヴィチはほとんど取り上げられたことがないらしい。

さて、演奏が始まって、ハイドンの時とは一転して、アンサンブルの乱れが気にかかった。弦楽器は力強さが加わって良かったものの、金管のバランスが悪かった。おまけに弦楽器にかき消されるほど存在感の薄い金管。木管も良いのか悪いのかはっきりしない。特にピッコロが目立ちすぎで、耳の中でハウリングを起こし非常に不快だった。第2楽章はさすがオザワといったスピード感のある良い演奏だったが、その他は何となく過ぎてしまった。やはり小澤氏はショスタコーヴィチに慣れていないのか? 最後のコーダもバラバラになってしまい、今年の大フィルの演奏のように超快速のショスタコーヴィチだったが、もの足らない演奏だった。期待していただけに残念。やはり今度は得意のベートーヴェンなどを聴いてみたいものだ。

ところで、今回はすみだトリフォニーホールの3階席で聴いたのだが、意外に良く聞こえた。ただし、直接音がほとんどのためにあまり「響き」には満足できなかった。おまけに3階席は構造的な欠陥がある。座席に座るとステージの最前列が見えないのだ。もう少し視界を確保できる構造にしてもらいたいものだ。

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