今年2度目(通算3度目)のN響公演。デュトワの指揮を聴くのは4年ほど前のモントリオール交響楽団以来。今日のプログラムは、デュトワ得意のものばかりなので、いやが上にも期待してしまう。京都コンサートホールも超満員で、N響の人気の高さがうかがえた。
さて最初はラヴェル。先日、N響定期をBSで見たとき「整然としていて、無機質」な感想を持ったが、生の演奏の冒頭からその感想を否定せざるを得なかった。何とも安定感があり、優雅な流れなことか。思わず、2年前のベルリン・フィルで聴いた「ラ・ヴァルス」が頭をよぎった。決して軽やかで輝かしいわけではないが、腰が据わった堂々たるワルツ。デュトワの繊細な感性が随所に見られた。
2曲目は今日1番の出来ではないだろうか。デュトワの十八番のストラヴィンスキー。切れの良さとリズム感が最高。あまり聴き慣れていない曲だが、他のストラヴィンスキー作品を随所で思い出させてくれ、雰囲気は十二分に伝わった。N響の底力というか層の厚さが露わになった演奏だった。
メインのチェロ協奏曲のソリストはモルク。最近よく名前を聞くが、演奏を聴くのは今回が初めてだ。いかにも北欧出身らしい顔立ちだが、いったい何歳なのだろうか?・・・ チェロの音色は意外と甲高く、ヴィオラを聴いている感じだった。オーケストラの後ろ側で聴いたのでほとんど音が飛んでこなかったのだろうか? 技術的にはかなり高く、安心して聴いていられた。嫌みがなく、非常に爽やかで、ロマンティシズムあふれる表現を聴かせてくれたのがよかった。若干、奥深さ・渋さが足りなかったくらいか。オケの方は得意の曲とあり、非常にふくよかで深みのある演奏だった。こういう曲はN響にはぴったり合っている。何より、弦の厚み、木管陣の充実があってこそのことだから・・・
しかし、2日前に関フィルの演奏会を聴いていたこともあり、N響の実力の高さに改めて感動した。今年のコンサートシーズンを締めくくるにふさわしい非常に良い演奏会であった。
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