ちょっと予定が変わったので、急きょNHKホールに足を運んだ。今年最初のN響定期というだけでなく、アシュケナージが指揮するということもあるので楽しみな公演かも。昨年初めてNHKホールを訪れて、音響の悪さに舌を巻いたが、今回は同じ自由席でも3階の前の方に位置するLブロックで聴くことにした。
意外と客の入りは良い。さすが東京。京都でこのプログラムだったらほとんど入らないだろうなぁ。これもN響人気の賜物だろうが。最初はコバケンの曲。これは非常に珍しい。2000年に日蘭友好400周年の記念曲として委嘱された曲らしい。ヨーロッパと日本の主題を絡めながら進む曲ということだが、日本的な部分しか分からなかった・・・ ちょっと退屈する曲かも。いろんな楽器を使っていたので豪華ではあるが、あまり印象に残っていない。今後耳にすることがあるか分からないだけに貴重な体験だったが。
2曲目は、コンセルトヘボウの首席フルート奏者バイノンによる武満。タイトルの通り、「水」を非常に意識させる曲で、ドビュッシー的な印象が強かった。とても心地の良い曲。バイノンのフルートも派手やかさではなく、落ち着いた美しさだったのが功を奏していた。コンセルトヘボウの美しさはこれかと思わせる演奏。アンコールで、ドビュッシー「パンの笛」という曲を吹いてくれたが、これも響かないNHKホールにさわやかな風を漂わせてくれた。
後半は「ツァラトゥストラ」。昨年も関フィルで聴いているが、さすがに比べ物にならないくらいしっかりとした演奏だった。冒頭のトランペットが音を切るように演奏していたのが耳について、好きではなかった。ホールが響かなかっただけなのかも知れないが。しかし、上手すぎなのか、心地よくてかなり眠かった。安定した演奏だったが、引き込まれるような演奏ではなかったように思う。コンマスを含め弦楽器のトップ奏者は間違いなく上手かった。この曲の聴き所でもあるし。どうせならサントリーホールで聴いてみたかった。NHKホールのオルガンを聴けたのはうれしいが、ホール自体の音響があまりにも悪いために、N響の魅力を半分も楽しめなかった。やっぱり安い席はそれなりのものということか?
終演後は、初めて東京の演奏会で楽屋口まで訪れてみた。6人くらいしかいなかったが、ちゃんとアシュケナージのサインをもらうことができた。
【おまけ】
いつものように、開演前にロビーコンサートが行われていた。
ヒンデミット 「さまよえるオランダ人」序曲
(ヴァイオリン:林 智之、小林 玉紀 ヴィオラ:佐々木亮 チェロ:田澤 俊一)
「さまよえるオランダ人がヒンデミット?!」と思ってしまうが、これはもちろんワーグナーの曲。疲れ切った宮廷音楽家が初見でオペラを演奏する・・・という設定で書かれた珍しい曲。テンポのズレや、音程ハズシ、そして間違い。あらゆるミスをふんだんに盛り込んだ楽しい曲。ただ、N響メンバーが演奏すると間違いもうまく聞こえてしまうものだから困ったもんだ。
2005年コンサートカレンダーにもどる
|