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コンサート名・公演名

2004年10月27日 ニューヨーク・フィルハーモニック
(サントリーホール)

演奏曲目および評価

ワーグナー  歌劇「タンホイザー」より序曲とバッカナール
マーラー  交響曲第5番


演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮: ロリン・マゼール

感想・短評

2年前のマズアとの名演も記憶に新しいが、今度は巨匠マゼールによる極めつけとも言えるマーラープログラム。これは期待せずにはいられないでしょ。自身2度目のサントリーホールで聴けるのも楽しみの一つの要素だ。今回は高額プログラムなので、さすがにP席しか手が出せなかったが、サントリーホールの音響にも注目してみた。

マゼールの指揮で演奏を聴くのは、1993年のバイエルン放送交響楽団以来だから本当に久しぶり。プログラムは当初発表されていたものから少し変更になっていた。元々、アイヴズ「3つのイングランドの風景」が演奏される予定だったものが、ワーグナーに変更になった(だいぶ前から発表されていた)。変更の理由はよく分からないが、2年前の公演でも同曲の演奏を聞いているので、聴き比べということでは楽しみなのだ。何しろ、フィリップ・マイヤーのホルンで聴けるタンホイザーなんだから。そのタンホイザー序曲、意外にも淡白と言うか、過度な劇性を表出させずに演奏された。後半の「バッカナールの音楽」部分こそは迫力満点だったが、少し期待を外された感じ。マゼールの指揮から穏やかな音楽が聴けたと言うのはちょっと驚き。

後半はマーラー。フィリップ・スミスのトランペットと、フィリップ・マイヤーのホルンが格別の響きをホール内に轟かせていた。うまい。ニューヨーク・フィルもパワー全開でホールを揺さぶる。サントリーホールのP席は比較的音響が悪い訳ではないが、金管が近いこともあり、バランスには欠けていた。フィリップ・スミスのすぐ近くの席だったので「おいしい」場所だったけど。しかし、響きすぎなくらい良く響く。サントリーホールは。マゼールもマーラー演奏では本領発揮。第1楽章、第2楽章はテンポを遅めに取り、グロテスクなくらいねちっこい演奏を披露。特に第2楽章はテンポを揺らしてスリル満点。その反面、第3楽章以降は意外にも素直な演奏になってしまったのが残念なところ。終楽章なんかは派手にやってくれるのかと思いきや、意外にも普通。それでも第4楽章は非常に美しかったのは言うまでもない。

アンコールはワーグナーの「ローエングリン」より第3幕への前奏曲。まぁ、勢い任せた演奏だったので出来はそれなり。他にはベートーヴェンの「エグモント」序曲、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」などが用意されていたが、それらは演奏されなかった。

今回の演奏はオケの裏側で聞いたので、2年前と比較できないが、現代的なマーラー演奏のお手本だったと思う。昨年、北ドイツ放送交響楽団で聴いた、重厚でドイツらしい演奏とは全く趣を異とするが、金管の抜けが心地よく爽快感のある演奏だったように思う。真のマゼールファンはどのように感じたことだろうか?

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