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2005年10月28日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第392回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

金 湘  「巫」(日本初演)
サン=サーンス  ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」
ワーグナー  ジークフリート牧歌
R.シュトラウス  交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」




演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: パスカル・ロジェ
指揮: 李 心草

感想・短評

大フィルの定期演奏会といえば、大植さんが就任してからはほぼ満席に近い状態になっていたが、今日はどうしたことか? 7割くらいしか入っていなかっただろうか? プログラムは確かに地味だが、なかなか聞けない名曲ぞろい。なぜだろう?

最初は日本初演(実質は昨日に続く2回目の演奏)の曲。現代曲らしいやかましい曲だ。終始楽器が強く鳴りっぱなし(特に打楽器)でストレス発散には最適か。打楽器が10種類以上並んでいて、「打楽器狂詩曲」という様相が強い。パンフには「中国の伝統文化を想像することができ・・・」とか書いてあったが、一部の金属打楽器が中国的だったところ以外はあまり関係はなかったような・・・。最後はドラの音の後に鐘が鳴り、静かにEND。作曲者も会場に来ており、舞台上で拍手を受けて満足そうだった。

私にとって今日の目玉はパスカル・ロジェのピアノだ。これだけのために来たといっても過言ではない。何しろ、高校のときにロジェの「エジプト風」をFMで聞いて以来、この曲だけでなくロジェのファンにもなってしまった。「いつかはこの曲を生演奏で聴いてみたい」これが長年の夢だった。それが、今日聞けるというだけでなく、ロジェのピアノで実現されると言うのだからこれ以上の喜びはない。オケはそっちのけでロジェのピアノに全力で集中した(笑)。そんなこともありあまりオケを聞いていないのだが、少し冷たい音色でフランスらしい雰囲気は出ていたように思う。ピアノは期待通りで、ロジェの流れるような指使いはまさに神業。鍵盤をたたくのではなく「なでる」というような柔らかさだから驚き。終楽章の終盤ではオケとかなりのズレを起こしていたが、そんなことはどうでもいいんです。指揮も特徴はなかったけど、そんなことはどうでもいいんです。ピアノが上手すぎだから。ラッキーなことに懸命な拍手のおかげでアンコールを1曲披露してくれた。

  サティ 私はあなたが大好き

もうまさに心穏やかに躍る演奏。美しさに身震いした。よく耳にする曲だが、これほど繊細な演奏を耳にしたことはない。ああ、CD買お。

前半で満足してしまったが、後半も面白い曲が並ぶ。まずは、ジークフリート牧歌。のどかな心安らぐ曲なのだが、なんだか間延びしてしまってダル〜イ演奏でした。そういう曲と言ってしまえばそれまでだが。。。でも弦楽器はきれいでした。

最後は「ティル・オイレンシュピーゲル」。ほとんど期待していなかったのが原因だろうか? これはかなりの快演でした! 最初の難関のホルン。ここをクリアしたのが大きかった。そのためか、自信に満ち溢れた堂々とした演奏になった。「愉快ないたずら」ではなく「豪快ないたずら」ともいえるほどの超重量級の演奏に最近の大フィルの充実振りを感じた。もちろん豪快だっただけでなく、「交響詩」としての物語性も十分楽しめることができた。指揮者もようやく伸び伸びとしていたような気がする。期待していなかった曲で名演奏が聞けると得した気分だ。

繊細なピアノ曲に豪快なオケの演奏。両極端の素晴らしい演奏が聴けて、面白い演奏会だった。

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