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2006年4月21日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第397回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ベートーヴェン  「コリオラン」序曲
R.シュトラウス  オーボエ協奏曲
R.シュトラウス  交響詩「英雄の生涯」



演奏者(指揮者・ソリスト)

オーボエ: フランソワ・ルルー
指揮: 大植 英次

感想・短評

大人気の大植さんのシーズンもこの4月から4年目に入る。年を追うたびに注目度が上がりチケットも取りづらくなってきているのは悩ましいところだ。さて、その2006年度シーズンの1回目は豪華なプログラムで発進。

やっぱり大フィルは歴史の長さを感じさせる。「コリオラン」序曲は深みがあり、重厚な響きを存分に出していた。ただし、楽器にばらつきがあるようで一聴すると合ってないように思うことがある。それが逆に広がりを感じさせるんだけど。休符を効果的に表現していて緊張感のある演奏だった。

2曲目は注目のルルー。これを完璧といわずして何を完璧というだろうか? 真のオーボエとはどういうものかを強烈にアピールしてくれた。超絶技巧の演奏には舌を巻くが、それ以上に、何気ないフレーズが何と上手いことか。日頃のストレスや悩みすらも吹き飛ばす、心和やかにしてくれる演奏でした。オケの伴奏が邪魔に思えるくらいです(ヴィオラは少し邪魔でした・・・)。

アンコールは1曲。シルヴェストリーニ「独奏オーボエのための5つの絵」。ものすごい超絶技巧曲。印象派のモネの絵をイメージしているらしく、多彩でつかみ所のない曲だったが、ルルーのテクニックを存分に楽しむことができておもしろかった。

さて、この4月の「関西オケ・英雄の生涯4連発シリーズ」となる曲。演奏前に早くも驚いてしまった。休憩中にオケのメンバーが練習することはよく見かけるが、今回はほぼ全員が練習しだしたのだ。熱心に思える一方で、練習不足なのではないかと不安にもさせられた。休憩なのにとても騒がしかったです。

その「英雄の生涯」は、スケールの大きな快演だった。やはり大フィルの特徴である弦の厚みがモノをいう。先にも書いたようにバラツキ感が広がりをいっそう強めていたように思う。これが良くも悪くも随所で表情となって現れていた。大植さんの指揮は特に奇をてらうところもなく、ごくオーソドックスなもので、時折テンポを変えて曲の流れを豊かなものにしていた。「英雄の伴侶」でのヴァイオリン独奏は、今年から首席コンサートマスターに就任した長原さん。若いことを武器に思いっきりの良い演奏が身上。痛快ではあるものの、少々荒さが目立ち「妻」らしくなかったのは仕方ないかな? しかし、オケが強奏する箇所はやかましすぎる。大フィルはいつもそうなのだが、ホール内でノイズを増幅させてしまうほどのやかましさになってしまう。バラツキのある上にやかましい。この点を除けば非常に充実感のある演奏だったと思う。さすが関西の雄といえる「英雄の生涯」でした。


【余談】 この4月に関西オケの4つの定演で「英雄の生涯」が取り上げられていることについて、終演後に大植さんに聞いてみた。状況は分かっていたが、やはり全くの偶然とのこと。「4つのオケに客が分散してしまうことがあったら残念だけど、聞き比べができるというのはおもしろくていいよね」と。そうなんです。滅多にないことだからライブはやめられません。


【特別企画】 今年の4月は関西のオケで偶然が重なっている。4つのオケ(PACオケ大フィル京響大阪センチュリー)の定演で「英雄の生涯」が取り上げられているのだ! それぞれに違う「英雄の生涯」を聞き比べられるという、滅多に出会えない貴重な1ヶ月。「関西オケ・英雄の生涯4連発」ということでお届けします(笑)。

4月8日 佐渡裕指揮 兵庫芸術文化センター管弦楽団
4月21日 大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団
4月22日 大友直人指揮 京都市交響楽団
4月27日 小泉和裕指揮 大阪センチュリー交響楽団

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