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2008年2月15日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第415回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ラヴェル/道化師の朝の歌
ガーシュウィン/ラプソディ・イン・ブルー
ベルリオーズ/幻想交響曲 作品14



演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:小曽根真
指 揮:大植英次

感想・短評

大植さんの登場となると満員のシンフォニーホール。今日の演奏会は1年前から楽しみにしていたので気合が入る。大フィルの演奏会としては初めて?クワイア席(ステージ後ろ)に座って聴いたので、大植さんは曲をイメージとして指揮するということがよく分かった演奏会だった。

1曲目のラヴェルは残念ながら大植さんが意図しているような演奏をオケが実現出来ていなかったように思った。大植さんの指揮は、曲を大きな流れとして捕えていたために、オケが対応できないと縦の線が揃わず、リズム感に乏しいボヤけた演奏になってしまっていた。ただし、曲としては、遅めのテンボでのアプローチをなかなか耳にすることながないので興味あるものだった。

さて、注目の小曽根さんが登場したガーシュウィンは期待通りの希有の快演となった。5年前の京響でのピアノ協奏曲の名演が頭をよぎる。まず、冒頭のブルックスさんのクラリネットは予想を超えた最高のパフォーマンスだった。下品にはならず、ネチっこさの中に洗練された美しさがあった。これまで聴いた中では一番面白い吹き方だったのではないかな? そして小曽根さん・・・最初っからすでに独自奏法になってます(汗)。大植さんはほとんど小曽根さんの方ばかり見て指揮していたが、この曲でもかなり遅いテンポで悠々と歌う。いいぞ!おもしろいぞ!小曽根さんも原曲をとどめず即興的にガンガン展開していく。長い長いカデンツァが何度となく続く。この曲は何分の曲だったのかさえ忘れさせるほどに(笑)。しかし、やはり小曽根効果なのだろう。オケはいつにないほど完成度が高く、出て欲しいときにキッチリ出るスピード感あふれる演奏を披露していた。とても大フィルとは思えない(失礼!)。1曲目のラヴェルはなんだったのかと思わせたほどだ。そして熱狂的に終わると、会場からはクラシックのコンサートとは思えないジャズライブの様相で歓声が沸いた。いやー、正統的な演奏を期待していたクラシック専門の観客がどう思ったのか聴いてみたい。熱狂的な拍手に応えてアンコールが1曲あった。

  小曽根真/ビエンベニトス・アルムンド

メロディアスな小品だが、即興要素が強くてエキサイティングでした。今日はバレンタインデーということで大植さんから小曽根さんにピアノの形をしたチョコレートを手渡したのだが、大植さんが観客に中身を見せようと箱を傾けたところ中身を床に落としてしまった!会場からは「あーーーっ!」という悲鳴も起こり、とても楽しいひとコマでした(壊れたようには見えなかった)。

さて、熱狂も覚めやまず、後半はベルリオーズだ。正直言って、今日のメインは小曽根さんだったので「幻想」は何も期待していなかった。強いて言えば、大フィルがこの曲をどのように演奏するのかなぁと言った興味くらいだった。しかししかし、なんのなんの! 前半の演奏に勝るとも劣らない「大植色」に染まった面白い幻想交響曲だった。なにしろ、相変わらずテンポが遅い上に急変もする。特にそれが感じられたのが第2楽章。最近は快速的な演奏がよくされるのでじっくり優雅に聞かせる演奏は実に心地よかった。第4楽章、第5楽章の大迫力も全く歪むことのないオケには「本当に大フィルか?」と思った(失礼!!)。金管セクションは絶好調でしたが、特にトランペットに圧倒的な存在感がありました。そして、大植式に最後は一気にテンポアップして超特急でフィニッシュ。これで観客が喜ばないわけないでしょ。中身が濃すぎて感想が書けません。少なくとも、これまで聴いた幻想交響曲の演奏ではNo.1の面白さでした。

大植さん&大フィルで久々に会心の演奏を聴いた気がします。この調子をずっと維持してもらいたいですね。

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