大フィルの2009年度新シーズンの始まり。大植人気も一時期ほどではないのだろうか? それなりに客は入っているけど、意外にも空席が目立つ。大植さんの公演といえば、補助席が設置されるほどの満員のイメージが強いので意外な光景だった。さて、先の日曜日にはこのシンフォニーホールのほぼ同じ座席で京響の公演を聴いているので、曲は違えどオケの聴き比べが楽しみだ。
1曲目は楽しみにしていたブラームスの3番。眠さ爆発の演奏だった(汗)。疲れきっていたのもあるが、なんだか生気の少ない響き。それにこれといってあまり特徴がない。第2楽章はクラリネットの美味しいはずのメロディもいまひとつだったし、第3楽章は遅めでとても美しく響いてましたが、いかんせん睡魔に勝てるほどではなかった・・・。第4楽章でようやくアゴーギク豊かな面白い演奏が聴けました。遅いところはトコトン遅く、速いところはメリハリをつけて急激に速く。最後は遅すぎて何の曲かわからなくなりました。うーん。終楽章の弦楽器は素晴らしいと思いましたが、全体的にはバランスがあまり良いとは思いませんでした。改めて比較すると、京響の管楽器がいかにハイレベルなのかを実感したという感じ。
後半は一転して色彩的な曲目。「キャンディード」の組曲版は初めて聴きましたが面白い曲です。京響で聴いた「ウェストサイドストーリー」に比べて鋭さや色彩はなかったですが、大フィルらしい底力のある、厚くて野性的な音色は迫力満点でした。大植さんはさすがにバーンスタインへの思い入れも強くて気合い十分といったところ。フィナーレの壮大な美しさは見事でした。
最後は「火の鳥」。野太い大フィルらしい響きはストラヴィンスキーにはよく合ってますね。管楽器の個人プレーがもっとウマければ申し分ないんですが。第5曲「カスチェイ王の地獄の踊り」は組曲版だから唐突で好きでない上に、いまひとつ大フィルらしい重量感や立体感が出せてなかったのは残念。それでも、ブルックスさんの安心して聴けるクラリネットを始め、コンマスの長原さんやティンパニが異才を発揮していて耳を楽しませてくれた。
大植さんの指揮は自分の世界に入りすぎてて、オケがついていってないのがいつも気になるところ。曲のフィナーレだけはヤケに壮大だし。聞き応えはあるんだけど、そろそろ深みのある演奏を聴いてみたいところだ。
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