朝比奈氏の演奏を聴くのは実に約2年ぶり。やはり朝比奈人気はすごく、ほぼ満席。普段はそんなに満席にならないと聞いた。なぜそこまでに人気があるのだろうか?そういう思いの中演奏を聴いた・・・
最初はドヴォルザーク。「朝比奈氏のことだからゆったりとしたスケールの大きなドヴォルザークになるんだろうな」と思いきや、以外とあっさりと始まり、テンポもちょっと速め。大フィルはやはり弦の厚さがある。低弦だけではなくヴァイオリンも深みがあるのはさすが。しかし、金管が×。何というバランスの悪さ。弦と管が全く分離している。後半になるにつれ全体的なまとまりも見られたが、管の音はちょっと安っぽかった(トランペットはなかなか太い音を出していたが)。昨年聴いたドヴォルザークも「誰の曲だ?」と思ったが、今回もそう思った。大フィルはドヴォルザークに合わないのか?
後半は展覧会の絵。これは結構快演であったと思われるが、なにしろ出だしの頭が合わない。ここまで合わないのは珍しい。弦も管も効果的に働いていたが、打楽器は多くの場面でぶち壊しにしてくれた。特に小太鼓は×。ボリュームのある演奏だったのでそういう不満も少しは消えたが。良かったのは2曲目「古い城」、5曲目「卵のからをつけたひなの踊り」、7曲目「リモージュの市場」、10曲目「キエフ大門」だろうか。特に「キエフの大門」の盛り上げ方はさすが朝比奈という感じで、熟練の域に達していた。最後の強烈な銅鑼はもう少しどうにかして欲しかった(大きく振りかぶって銅鑼をぶっ放す姿は初めて見た!)。
ホールのせいもあるのだろうが、今日の大フィルはまるでSP盤でも聴いているような非常にレンジの狭く、響きの浅い演奏に聴こえた。もっといいホールでの演奏を望みたい。
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