PMFを聴くのは10年ぶり(PMFインターナショナル・オーケストラという特別オケは1999年に聴いている)。昨年はゲルギエフ指揮だったので非常に行きたかったのだが、平成淀川花火大会と重なったため涙を飲んだ。今年は花火の開催日と重ならなかったため、PMFに足を運べるようになったわけなのだ(オケより花火の方が優先度高いのか?!)。花火は関係ないと思うが、PMFオーケストラは人気が高く、ほぼ会場は満席状態(招待席?と思われるブロックがゴソッと抜けているところはあったが)。今回は1階席のど真ん中という滅多にない好位置で聴くため、ドンと来い!と言った感じだ。
初っぱなから「PMFあなどれじ」。若手、学生のオケなどという意識は冒頭から吹っ飛んだ。そんじょそこらのオケとは安定感が違う。若さのため多少焦り気味なところも多く、バランスが崩れる場面もあるが、どのパートもレベルは高い。最初のホルンによる重奏は本当に良かった。指揮者のサンティ氏は4年前にN響で指揮を聴いた時、あまり好印象ではなかったが、今日聴く限りは「さすがベテラン」と思った。オペラ指揮者として慣らしているだけあって、曲の進め方が実にドラマチック。オーケストラの若さを、熟練の技でうまくコントロールしていた(押さえ込んでいるという感もあったが)。
2曲目も若さを押さえつけている感があったが、小気味良さはさすがに精鋭の集まりだ。若さを開放せず、節度をもって演奏する様子は好印象だった。良い意味で若さを爆発させたのは「ウィリアム・テル序曲」。それにしても、冒頭のチェロはビックリするほど素晴らしかった。中間部のオーボエもしっかりしており、どこを取っても驚きの連発。見せ場の「スイス軍の行進」もバツグンの切れ。最後に突き進んでいくスピード感もオペラ的でエキサイティングな演出だった。残念な点はパーカッションがぎこちなかったところくらいかな? もちろん観客も大拍手! 気を良くしたのか、前半というのにアンコールが演奏された。それも、再度ウィリアムテルから「スイス軍の行進」部分。勢いに任せたため、完成度は落ちていたが十分な盛り上げを見せた。今日の演奏会は「ローマ三部作」がメインのはずと思っていたが、前半の序曲集だけですでに1時間を越えていた。今日は長時間の演奏会になりそうだ。
さて、後半の「ローマ三部作」。若さ大爆発で期待通りの大輪の花火が炸裂した。「ローマの噴水」も色彩豊かで申し分なかったが、やはり何といっても「ローマの松」は痛快な演奏。「アッピア街道の松」は若さが物を言う豪快さで寄り切り勝ち。それだけでもお腹一杯だというのに、さらに熱狂の「ローマの祭り」。「十月祭」はもはや崩壊寸前という危うさもはらみ、演奏というよりも「大音響の大スターマインに挑戦!」という痛快さ。滅多に耳にしない熱狂的な演奏だった。あまりの豪壮な演奏に感想こそ薄いが、ストレスが一気に吹き飛ぶほど、気持ちの良い演奏だったのではないだろうか?
完成度も必要だが、若いからこそ出来る演奏というものもある。それをどちらも楽しませてくれたPMFは、花火大会とともに欠かせない夏の風物詩なのかも知れない。
2005年コンサートカレンダーにもどる
|