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コンサート名・公演名

2004年11月28日 ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ
(神戸国際会館 こくさいホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト  歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(全2幕)

演奏者(指揮者・ソリスト)

ドン・ジョヴァンニ: ヤロスワフ・ブレンク
ドンナ・アンナ: オルガ・パシェチニック
ドン・オッターヴィオ: レシェック・シフィジンスキ
騎士長: ダリウシュ・グルスキ
ドンナ・エルヴィラ: アグニェシュカ・クロフスカ
レポレッロ: イェジ・マーレル
マゼット: スワヴォミル・ユルチャック
ツェルリーナ: マルタ・ボベルスカ

合唱: ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ合唱団
管弦楽: ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ管弦楽団
演出: リシャルド・ペリット
指揮: カイ・ブーマン

感想・短評

今年はモーツァルトのオペラにばかり行っている気がする。「フィガロの結婚」、「コシ・ファン・トゥッテ」、そしてこの「ドン・ジョヴァンニ」。おまけに「ドン・ジョヴァンニ」は自身2度目だ。これまでにそれほど多くのオペラを見ていないのにモーツァルトが続くというのも奇怪だなぁ。さて、今回も小規模な演奏者による公演。この歌劇場はモーツァルトの全てのオペラ(21作品)を上演したことがあるという世界で唯一の歌劇場らしいので少し期待できる。有名なアリアが多く飛び出し、演出の面白さでは群を抜いて面白いと思っている作品なのでどのような公演になるか・・・

ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場オペラ
カーテンコール

序曲は淡々と演奏される。体力を温存してるな。。。今年の6月に同じこくさいホールで聴いたスポレート歌劇場と比較すると、演奏自体は悪くないが、あまり期待感を持たせる演奏ではなかったのがイマイチか。弦楽器の音色自体は素直で美しかったのでもったいない。舞台装置の方も非常に質素というか、なんにもない! 三方を鏡で囲んだ舞台と階段がある程度(全編を通してあまり変わり映えしなかった)。第1幕では、ドンナ・アンナの父親(騎士長)がドン・ジョヴァンニによって殺される劇的なシーンがあるが、あまりにチープな演出に会場からは失笑が沸いた(さされた瞬間に赤い布をペロッと垂らしていた・・・)。その演出に代表されるように、他のシーンもこれという見せ所に乏しい。最悪に思ったのは、もっとも興味をひきつけると思われるレポレッロの「カタログの歌」の名シーンもサラーッと過ぎていったところ。なんちゅう演出と歌唱力じゃ! 特にレポレッロ役のマーレルが、声量が他の人よりも大きすぎで、音程も不安定(荒っぽく言えば大声なだけ)。同じくドン・ジョヴァンニの「シャンパンの歌」も芸無し。遊び人という非道さが乏しかった。どういったらいいのか? 心がこもっていないというか、ただ歌っているに過ぎず、楽しさや感情が伝わってこないのだ。ここが、一流歌手との大きな違いなのだろう(一昨年の小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトは凄かったのに)。比較的良かったのは女性陣か。エルヴィラは音程の不安定な部分もあったが、総じてみんな良かった(特にツェルリーナが清楚な感じで良かった)。

そんなこんなで、第1幕でオペラ1つ分を見たくらい疲れた。第2幕に入るころにはもうヘロヘロ。あくびしながら見るオペラというのも辛いものだ。第2幕は何といっても最後に騎士長がジョヴァンニ邸に現れるクライマックスが見ものだが、オケにパンチが乏しく、劇性を十分に伝えきれていなかった(もちろん徐々にオケの勢いは上がっていたのだが)。むー。舞台装置はともかく、もっと演技を面白くしてくれないと、この名作の良さが分からない。モーツァルトのオペラに手馴れているといわれる歌劇場だけに、その演出の悪さにガッカリしてしまった公演となってしまった。

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