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コンサート名・公演名

2006年10月4日 ファジル・サイ ピアノ・リサイタル
(神戸新聞 松方ホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト 「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲 K.265
       (きらきら星変奏曲)
モーツァルト  ピアノ・ソナタ第11番 K.311「トルコ行進曲付き」
J.S.バッハ  パッサカリア BWV.582
J.S.バッハ(ブゾーニ編)  シャコンヌ BWV.1004
ベートーヴェン  ピアノ・ソナタ第23番 op.57「熱情」

演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: ファジル・サイ

感想・短評

NHKで放送していた昨年の来日公演を見て「これは行かねば!」とチケットを買った公演。発売から時間が経っていたにもかかわらず、幸いにも良席が確保できて堪能することができました。サイのピアノは2004年に大フィルでベートーヴェンのコンチェルトを聴いている。あの時の感動も相まって、期待は想像以上に高かったが果たして。。。

その想像はあまりにもちっぽけだったことが分かりました(汗)。想像を絶する表現力とテクニック。1曲目の「きらきら星変奏曲」から度肝を抜かれました。サイは身をくねらせ、不敵な笑みを浮かべ、歌いながら演奏していた。一見すればただの変な人である(笑)。実際、観客の一部も驚いた様子でざわめきが起きたくらい。あまりにも動きながら演奏するので、音の強弱にムラがあったものの「聞かせる」という意味ではとんでもなく面白い演奏でした。音が鍵盤から弾けだしているという感じの、ものすごいエネルギーだったです。。。

「トルコ行進曲」は少し動きが小さかった分、とても正確無比な演奏で絶品そのもの。聞き慣れた曲がものすごい芸術品として聞こえました。なぜか、バッハは一転してまじめな演奏スタイルで、身をくねらすことも笑みもなかった。しかし聞こえてくるのはバッハというよりは、サイ色の強い音楽だった気がします(^^; あんまりバッハの曲を知らないので・・・

最後のベートーヴェンでは、またしてもサイのやりたい放題の豪快な演奏だった。もはやベートーヴェンではない。自分の曲、自分の手足となったピアノ。そして聞こえてくるのはサイの音楽・・・。終始押されっぱなしで、金縛りにあったようでした。しかし、彼の真骨頂はアンコールで垣間見ることになる。

  サイ作曲  ブラックアース
  ガーシュウィン(サイ編曲)  サマータイム
  モーツァルト(サイ編曲)  トルコ行進曲

演奏を期待していた曲の目白押しだったので、夢のような光景が目の前で繰り広げられた。ジャズの要素がふんだんに入ったトルコ行進曲は、ただただ唖然としてしまうほどの爆裂的な演奏。会場からは爆発するような歓声が飛んだ。

サイのピアノは常識を覆す圧倒的な個性がある。彼は音楽を奏でているのではなく、音の造形を構築しているような感じがする。まさにアヴァンギャルドな「芸術」ですね。同じような人は二度と現れないような逸材だけに、もっともっといろんな演奏を聴いてみたいと思いました。

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