この公演は、トヨタ自動車によるメセナ活動の一環であり、「愛・地球博」の記念事業でもある。昨日は「愛・地球博」の内覧会に行ってきたので、なんとなく気持ちも高ぶる。しかし、愛知万博が終わったらどうなるのだろう? 来年以降もこのオケが存続するのかちょっと気になるところだ。
さて、昨年に引き続いて、オール・ベートーヴェン・プログラム。はじめに、満員の会場の中でお決まりのオリジナル曲「イントラーダ」が演奏された。年に1回しか聴かない曲なので、どんな曲かほとんど覚えていないのだが、今日の演奏は今までのものよりもまとまりが良かったように思う。いつもは「適当」に演奏しているように聞こえていたので(汗)。特にシュミードルのクラリネットはモーツァルトの曲かと思うくらいの美しい調べを奏でていた。
続くコリオラン序曲はかなりの名演になった。これがミニオケか?と思うほどの緊張感と迫力。これまでにフルオケで何度か聴いているが、それをも凌駕する演奏にウィーンの底力を感じた。これまでのベスト演奏。
次は、横山さんを交えたコンチェルト。これもまたすさまじい快演だった。横山さんのピアノはガラスのように繊細で透明感がある音色だったので予想外だった。技術的には申し分ないのだが、情緒的な演奏には遠いものだったので少々期待はずれだった。ただ、流れるような指使いは一聴の価値ありだった。曲の方はかなり速いテンポと、山谷のない演奏だったので好みが分かれるところかも。オケの方はいうまでもなく絶品で、第2楽章なんかはこれ以上考えられないほどの上級の美しさをたたえていた。ヴァイオリンは全員で9人しかいないというのが信じられないくらいだ。最後までウィーン・フィルの全像が目に見るような感じがした。
最後は交響曲第2番。ベートーヴェンの中でも最もマイナーともいえるこの曲を取り上げるところが憎い。当然、ウィーン・フィルの残像を映したような圧倒的な演奏。ますます迫力が増していき、いったい本当に何人が演奏しているのだろうかという疑問が生まれるほどだった。目をつぶればそれはフルオケと同じくらいの迫力だから。全員が室内楽をしているくらいの気合の入れようで演奏しているからそのような印象を受けたのだろう。指揮者がいないのが全く不自然ではなく、それが当たり前だと感じるくらい、全員が自発的に演奏をし、うまく機能していた素晴らしい演奏会だった。
ちなみにアンコールは、モーツァルトの歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲だった。もちろん本場のモーツァルトが良くないわけない。ほんと、満足できました。ぜひ来年も続けてもらいたいプロジェクトです。
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