2002年の5月に行われた、第4回大阪国際室内楽コンクールの弦楽四重奏部門で優勝した団体による「グランプリ・コンサート」。オーストラリアの若手演奏家団体だ。チェロのみ男性で、その他は女性という編成。若い演奏家ということもあり、元気な演奏を期待していた。
まずは聴いたことのないハイドンの曲。意外に難しそうな曲だ。若いカルテットにもかかわらず、古典の落ち着きをたたえていて、少しばかり控えめな演奏スタイル。悪く言えば無難、生気があまりないといった感じ。下手に表情をつけなかったところが、この曲には合っていたのかも。しかし、もう少しチェロは存在感を出した方がいいように思った。
ベルクは抜粋の弦楽合奏版をCDで聴いたことはあったものの、全曲を聴いたのは初めて。当然?抜粋で聴いていた第2〜4楽章のみは楽しく聴くことができた(他は疲れてしまって睡魔とお友達になりかけていた)。若さゆえの新鮮さが現代曲には合っていたように思う。
ケーナーはオーストラリアの若手現代作曲家のようだが、曲風はいたってロマン的。民謡を取り入れたようなノスタルジックな曲で、とても聴き心地が良かった。
最後のラヴェルが圧巻だった。このために体力を残していたのかと思うほど、ほとばしる元気で曲を貫き通した。ラヴェル特有の色彩感、透明感を良く表していた。勢いある演奏に、それまで取り立てて熱心じゃなかった聴衆からは熱い拍手が送られていた。アンコールでは次の2曲が演奏された。
・赤とんぼ
・ピアソラ リベルタンゴ
赤とんぼは誰の編曲か分からないが、なかなか良い感じだった。しかし、ラヴェルよりも圧巻だったのはピアソラ。さらに勢いが余って、はちきれんばかりの熱演に。切れが良すぎてケガしそうなくらいだった。聴衆もこれにはさすがにひっくり返っていた。
このカルテットは技術的には全く問題がないので、今後の活躍に期待したいところ。経験を積んで深みが増してきたときにどのような演奏を聴かせてくれるか、楽しみかも。
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