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2006年11月16日 ウィーン・フィル・トップメンバーの集う「室内楽の饗宴」
ウィーン音楽祭 in OSAKA 2006(いずみホール)

演奏曲目および評価

ベートーヴェン  七重奏曲より第1楽章
モーツァルト  フルート四重奏曲第1番より第1楽章
モーツァルト  ピアノと管弦楽のための五重奏曲より第3楽章
シューベルト  ピアノ五重奏曲「ます」より第4楽章
シュポア  大九重奏曲より第4楽章
シューベルト  八重奏曲

演奏者(指揮者・ソリスト)

ヴァイオリン: ライナー・キュッヒル、ルネ・シュタール
ヴィオラ: ハインリヒ・コル、ロベルト・バウアースタッター
チェロ: ゲルハルト・イーベラー
コントラバス: ヘルベルト・マイヤー
フルート: ディーター・フルーリー
オーボエ: ヘラルド・ヘルト
クラリネット: ペーター・シュミードル
ファゴット: ラインハルト・エールベルガー
ホルン: ギュンター・ヘーグナー
ピアノ: 若林 顕

感想・短評

「ウィーン音楽祭」2度目の演奏会。何気なくチケットを買っていたが、よくよく考えるととんでもない大物揃いな上に、曲目も滅多に聴けないほど充実したプログラムだった。席は最前列のど真ん中なので、普通は良くない席だが、一流奏者の室内楽を間近に見られるという意味では絶好の位置だ。

前半戦は名曲のハイライト演奏。ウマイに決まっているので細かい感想は書かないが、ベートーヴェンやシューベルトでのキュッヒルの本気ぶりには驚異すら覚えた。楽譜に穴が開くんじゃないかと思うほど鋭い目つきで凝視していた。数メートルしか離れていないにもかかわらずナント音がきれいに聞こえることか。どの奏者もスゴイっす。

フルート四重奏は本来、ヴォルフガング・シュルツが演奏するはずだったのだが、家庭の都合で帰国してしまったため、代役としてフルーリーが演奏した(個人的にはフルーリーで良かったと思った(笑))。気品があるフルートには聴き惚れました。

モーツァルトのピアノと管楽器のための五重奏曲ではオーボエが出色だった。宝石のような輝きとつやを放っており、その安定感のある演奏はまるで別の楽器のようだった。ヘラルド・ヘルト、要注意ですね〜。

コントラバスだって聞き逃せない。ほとんど脇役な楽器のはずなのだが、しっかりと歌う演奏はさすがとしかいいようがなかった。シューベルトとシュポアでは目立ちまくってました。なかなかの男前なので格好良かったです。

クラリネットは最も注目だったのだが、他の奏者がすごすぎてちょっと印象が薄いです。シュミードルのクラリネットは明るい音色と落ち着いた音色の中間なので特徴がつかめない。おまけに近かったためか、キーのパタパタいう音が良く聞こえてしまいました。もちろんウマイのは確かなんだけど。

後半は大曲の「八重奏曲」。なかなか演奏機会がないのは聴いてよく分かりました。長い(60分)だけでなく難しすぎる・・・。これは一流プレイヤーでないと演奏できない曲なんでしょう。室内楽ではあるものの、響きや構成はほとんど交響曲的な様相がムンムンで、スケールの大きな曲を存分に楽しむことができました。この曲はクラリネットが主役なのでシュミードルのテクニックを凝視してしまいました(あんまり見つめていたので何度も視線が合ってしまいましたが(^^;)。第2楽章はクラリネットの独壇場。こういう曲を演奏できたらなぁ・・・ クラリネットだけでなく、ヴァイオリンも主役だ。特にキュッヒルの爆裂的な演奏には開いた口が塞がらなかった。第6楽章は火を噴くほどの熱演。きれいに弾こうなんてのは二の次。プロの限界のテクニックを目撃しました。

アンコールは、ベートーヴェンの七重奏曲より第5楽章。もう満腹です。

ウィーン・フィルのメンバーが出るからと、何気なく足を運んだ演奏会。しかし、あまりに本気度の高い演奏に圧倒され放心状態になりました。今年1年のコンサートの集大成といった感じで良い気分でした。

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