関西を中心としたクラシックコンサート報告サイト「大音楽惑星」
Home Concert Report コンサートのススメ CD Review リンク集 kotarinette
 大音楽惑星 ホーム > コンサート報告 > 2010年 > ウィーン国立歌劇場「ローエングリン」
クラシック・コンサート報告 コンサート報告
■年度別

■コンサートランキング
MANAITA.com
コンサート名・公演名

2010年5月30日 ウィーン国立歌劇場「ローエングリン」
(ウィーン国立歌劇場)

演奏曲目および評価

ワーグナー/歌劇「ローエングリン」全3幕(ドイツ語上演)

演奏者(指揮者・ソリスト)

ハインリヒ・デア・フォーグラー:アイン・アンガー
ローエングリン:ペーター・ザイフェルト
エルザ・フォン・ブラバント:ソイレ・イソコスキー
フリードリヒ・フォン・テルラムント:ヴォルフガング・コッホ
オルトルート:ヴァルトラウト・マイヤー
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
指揮:レイフ・セーゲルスタム

感想・短評

おとといは憧れのムジークフェラインでウィーン・フィルを聴くという贅沢を楽しんだが、今度は夢のウィーン国立歌劇場でオペラ鑑賞だ。本来は今日が初めてではなく、3日前にウィーン入りをした際に1回目のオペラ「サロメ」を観るはずだったのだ。しかし、フランクフルトからの乗り継ぎ便がトラブルで2時間遅れてしまったために間に合わなかった(涙)。オペラ座に着いたのは終演間近だったので、劇場外に設置されていた大型スクリーンで泣く泣く10分ほど鑑賞した。モニター越しとはいえ、いい演奏だったなぁ・・・。海外旅行ではタイトなスケジュール組んだらダメですね。教訓です。。。

そんなこんなで3日遅れで初めてのウィーンでのオペラデビュー。昨日からザルツブルクにいたので、昼過ぎにウィーンに戻り、美術史美術館などを巡ってから優雅に劇場に向かった。ムジークフェラインでも豪華な装飾に驚いたが、オペラ座も同様に見所が豊富。細かい探索は幕間の休憩中にするとして、独特の雰囲気に胸が踊る。席は100ユーロする1階パルケット(平土間)。18列目だったので最後列だが、後列は傾斜もついていて舞台はよく見える。ただ、真後ろが壁を挟んで立ち見席(何と4ユーロ!)なので、この価格差を納得できるかどうかだろう。今日の演目は4時間半以上かかる「ローエングリン」なので椅子の有り無しはかなりポイントになるだろう。

またまた前置きばかりになったが、オペラは非常によく楽しめました。事前にDVDを1度見て大まかなせりふを覚えていったこともあるが、各座席の前には個別に液晶モニターが設置されていて字幕を見ることができたからだ。まぁ、日本語はないので仕方なく英語を選択しましたけど、それなりに分かりやすかった。

やはり演奏の方は驚きの連続だった。何より、オケはウィーン・フィルだから文句の付けようがない。第1幕への前奏曲を聴きながら早くも感無量になった。この前奏曲は昨年行ったヤンソンス=バイエルン放送交響楽団で演奏予定だったのに当日になってカットされてしまった曲なので、このような形でリベンジすることになるとは思ってもいなかった。舞台は現代のような設定で、良く言えば簡素、悪く言えばチープ。出演者の衣装もスーツの着用だった。意味が良く分からなかったのは、エルザが盲目の設定で杖を持って歩いていたこと。恋は盲目ということか?それとも妄想の強いエルザを表現しようとしたのか?そういう演出面での「?」は置いておいて、歌手陣のレベルの高さには唖然とすることが多かった。ホールの音響もいいのだろうし、比較的狭いというのもあるのだろう。まるでマイクでも付けているのかと間違うほどの声量には圧倒された。日本でここまで全力なオペラを観たことがない。さらには、オケの鳴らしっぷりも素晴らしい。今日の指揮者はサンタクロースにそっくりなセーゲルスタム。指揮ぶりも実にダイナミックで、幕間では登場するたびに歓声が飛ぶほどの人気ぶり。

  

第2幕ではテルラムントとオルトルートが素晴らしい働きっぷりで、第1幕とは違う迫真の演技に引き込まれた。さらにすごかったのは合唱だろう。ここまでの大音量の合唱というものをこれまで聴いたことがあっただろうか?オケの強奏を上回るパワーにはお腹いっぱいでした。何百人もいる合唱よりもすごい気がしました。

「ローエングリン」といえば第3幕への前奏曲がよく知られている。ウィーン・フィルによる華麗な前奏曲を聴きながら、音楽の聖地ウィーンにいることの喜びと、信じられない気分で、しばらくホールの天井を眺めていた。それに続く結婚行進曲も有名なので、第3幕は音楽的に聴き所が多くて濃密だ。見どころはオルトルートの毒牙にかかったエルザの変貌振りで、やはり何度見ても可哀相になる。クライマックスはブラバントの守護者(ローエングリン)が名前を名乗るところ。ワーグナーの世界が大炸裂で凄まじい迫力でした。

演出が良く分からなかったものの本場のオペラをこれでもかと楽しむことができた。いつもそうなのか分からないが、ブラボーの嵐で盛り上がりもスゴかった。休憩も入れると4時間半の長丁場だったので、疲労感もこの上ない。またこの劇場でオペラを観るときがあるだろうか?名残惜しさもあったが、再会を念じて会場を後にした。

2010年コンサートカレンダーにもどる

Copyright